ラブライブ!スーパースター!!の聖地のひとつである青山にある澁谷かのんちゃんの実家という設定のカフェの店主の発言が物議を醸している。
ここではその内容は詳しく述べないので気になる方はググるなりTwitterで検索してね。
さて、その店主の発言もあって、Twitter上での界隈では「オシャレじゃなければ行ってはいけない」といったツイートがこれまで以上に散見されるようになった。今までも原宿や表参道と言えば「オシャレな街」というのは誰しもイメージするようだが、この発言を機にオタクにはキツいというイメージがより結びついてしまったような印象を受ける。
確かにオシャレなカフェやアパレルショップが多く、筆者である僕も原宿で服を何度も購入したことがあるものの、なかなか入りづらいお店が多いのが正直なところだ。
だが、意外にも原宿とオタクの親和性は悪くない、と敢えて唱えてみる。
今回はこの件について深堀りしていく。
オタク文化が少しずつ浸透している
え?と思うだろう。実は、ここ数年、原宿においてアニメコンテンツの展開が一般化しつつあるのだ。
きゃりーぱみゅぱみゅさんのツイート
これは2016年のツイートと結構古いのだが、きゃりーぱみゅぱみゅさんが南ことりちゃんの画像を待ち受けにしていたのである。理由は不明だが、少なくとも待ち受けに使う以上、ある程度好意的に感じているとみて良さそうだ。
日本アニメーションさんの広報ブログ
「ちびまる子ちゃん」「劇場版フランダースの犬」など著名なアニメ作品を制作している日本アニメーションさん。その広報のブログにこのように書かれている。
原宿が秋葉原化しているのではなく、もともとイメージしていた「おしゃれな街・原宿」に、アニメキャラクターたちが溶け込んでいる、という印象です。
こうした原宿の姿について、国内唯一のキャラクター・マーケティング・コンサルティングカンパニーである(株)キャラクター・データバンクさんにお話を伺いました。
「原宿にキャラクターグッズショップが増えているのは、意外性と新鮮味があるので話題につながりやすいことと、近年、20代以上の大人の女性層を中心にキャラクターグッズが人気だからではないでしょうか。
2000年代はじめ、「ヴィレッジヴァンガード」など、マンガやアニメに関連するグッズを販売するお店が増えてきたことや、深夜のバラエティー番組などを通じて著名人が「マンガ・アニメファン」を公言したことがきっかけになっていると思います。
それまでサブカルチャーとされていたマンガ・アニメが徐々にメインカルチャー化し、それに伴ってキャラクターのグッズを買うことが一般的になってきており、キャラクター商品化市場は伸長してきています」
http://koho.nippon-animation.co.jp/entry/harajuku-anime
これは、過去にラブライブ!でも期間限定ショップの開店実績のあるハイブリッド・マインド・マーケット(HMM)を始め、原宿エリアにおいて多くのアニメコラボショップが企画され、平日でも行列が出来る程だという。
2021年5月3日に原宿ゲーマーズがプレオープンした。「ラブライブ!スーパースター!!」オフィシャルタイアップショップとしてのオープンだが、正直ラブライブ!「だけ」では恒常的に店舗を維持出来るとは考えにくい。原宿という街でオタク文化が浸透し、そこに需要があるから開店したんだと見ている。
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2010年代のファッション誌から紐解く

こちらはファッション系ブログ上での考察ではあるが、2010年代に入り、複数のファッション誌で「オタク女子」「ヲタの血が混ざっている」「オタク可愛い」や「オタクガーリー」といったワードが並んだのである。純粋な(?)オタクを貫いている「おれたち」からすれば抵抗感を覚えるかもしれない。
「オタクを受け入れられない層」はこの図で言うと左上・左下あたりだろうか。右上に関してもそうだろ!と思うかもしれないが、後述するが実は親和性があるので右半分は受け入れてくれる層と見てよい。
きゃりーぱみゅぱみゅさんが、過去にこう述べている。
かわいいだけじゃなく、どこかに面白さや唐突さ、刺激を取り入れるのが 自分の個性、そして、″きゃりー=○○テイスト″と決めるのがイヤで、 イメージが固まってしまうのはつまらないということ。<中略> だから、きゃりーファッションの一番のルールは、一つのテイストに縛られず いろいろな格好をして常に人々を驚かせていくこと
「きゃりーぼーん」より
まあ、悪い意味で人々を驚かせてしまうこともあるのは否めないが、服装やカバンなどにオタク要素を取り入れ、それをファッションの一つとして身に着ける行為はきゃりーさんの考え方とも類似する。つまり、原宿系とオタクは実はそこまで遠い属性ではないと考えられるのだ。
前述の渋原系については
きゃりーは先ほど述べたとおりマインドはギャルで、ファッションは60年代のツイッギー風、 グロかわ、ダークファンタジー、フェアリーなど原宿系に多いスタイルがベースになっています。 その点から渋谷と原宿がミックスされた「渋原系」と考えることができ、 益若つばさフォロワーと言えるのかもしれませんが、それだけではここまで きゃりー旋風が起こることはなかったのかもしれません。 そう、きゃりーには今までのスターモデルが備えていないオタク要素があり、 そこに可能性を感じている人が多いのではないでしょうか。
https://www.fashionsnap.com/article/2012-05-15/kyarypamyupamyu-harajuku/
このように紹介されている。
きゃりーぱみゅぱみゅは原宿系なのか?女性誌のトレンドからの一考察
この引用記事から数年経っているが、現在はファッションだけではなくコラボショップが盛況だということは先ほど述べた通りである。2010年代よりさらにアニメやオタク文化が浸透している、と見て良いのではないだろうか?
原宿において服装はそこまで気にならない
「いやいや、オタクファッションじゃダメだろ」とこう声が聞こえてきそうであるが…
青山や表参道ではともかく、原宿においてはもっと目立つファッションの方が多くいる。
ロリータファッションを始め、原宿においてはそのジャンルを知らない方から見るとびっくりするようなファッションの方が普通にいる。だけど、それが一般的な街なのだ。
流石に「グッズ武装」や「テラジャンボの寝そべり」を抱えていると悪目立ちするだろうが、週末にアキバに出掛けるような格好なら目立ちませんし浮きません。
原宿ファッションを前面に出している方を一部紹介すると
オタクが服装で心配する必要なんてないと思う。これだけ自由であり先鋭的なのだから。
むしろ、ファッションで自分を貫く方々はとてもかっこいいよ。
服装より隠せない「身なり」
清潔感は大切
服装より気にすべきなのは「清潔感」ではないだろうか。実際、僕も様々なイベントに足を運んだが、必ずと言って良いほど近づくのを躊躇うような方を必ず見かける。それは服装ではなく、体臭や清潔感がない、といった点だ。
このようにイベントの関係者や、実際にライブ会場で感じている方もいる。社会的な立ち位置が異なる方々ツイートなので、この問題は様々なところで感じているものと考えられる。
このことから、「服装」より「清潔感」の方がよほど大事なんじゃないかな、と思う。
推しの前やイベント時の動きにも気を付けよう
このツイート自体が直接言及しているわけではないが、「オタク特有の動き」というものを見たり、自分でも体感したことがある方は(このブログに行き着いた方は少なくとも)いるんじゃないだろうか?
2次元・3次元問わず推しの前で挙動不審になったり、独り言を言っちゃったり…
そういう方はいくら服装で隠せていても、行動で隠せていないということになる。
青山の件のカフェ店主がオタクへの偏見だけであのようなキツい物言いをしているのは、少なからずそのようなオタク特有の動きに対する警戒が少なからずあると推測する。
もちろん、だからと言って件のカフェ店主の肩を持つつもりはないが、オタクとしてもオタ活が出来なくなってしまうのは問題である。沼津がラブライブ!サンシャイン!!のオタクを広く受け入れたのは地元が繰り返し勉強会を開くなどして理解を深めたから、だそうだ。裏を返せば、勉強会を行う等の草の根活動が無ければ、理解されない面もある、ということになる。
場所の言及は避けるが、ある沼津のまちあるきスタンプの協賛店舗で「好きなものを前にすると気持ちが隠せないんだよね」という話を聞いた。まさに、これこそがオタクへの理解そのものである。
好きなものの前で気持ちが隠せないのは、仕方ない。好きなんだから。
だけど一歩引くような気持ちになって、少し周りを見渡す程度の余裕を持って接してみては、どうだろうか?そこから、少しずつ「溶け込めるオタク」になればいいのだから。
まとめ
原宿においてはファッションのサブカル融合化やオタクコンテンツのショップの展開によってオタク文化への理解が得やすい土壌になっている。その流れが原宿へのゲーマーズの進出なのだろう。過度な量のグッズの持ち歩きさえ抑えれば街に溶け込める可能性は高い。
だからと言って隠す服すらない無防備な状態ではそもそも原宿に行くまでの電車内などで目立ってしまうし、身なり(清潔感や行動)で隠せていなければ変な目で見られるのも無理はない。
楽しく・少し控え目に行動・そして適度に推しを出す、これを心掛けて楽しく聖地を回りたいところだ。
お詫び(2021/5/10追記)
当記事初出しの際、身なりについてある声優さんのツイートを引用し、「お風呂に入ってからライブに参戦して」という意味合いで引用をしましたが、その当該ツイートの後日に正しい解釈が出ており、ここで引用すべき意味合いでは無かったため、削除致しました。誤解を招く形となってしまいました事をこの場にてお詫び申し上げます。